NHK朝ドラ「らんまん」で話題の牧野富太郎博士。明治から昭和にかけての植物学者です。
高知県に彼の記念館と植物園があります。私は数年前にそこを訪れたことがあります。
記念館は独特な形の建築ですが、その形にはちゃんと意味があります。
牧野先生やその土地で暮らす人々の思いを大事にして形になった建築です。
四国を訪れた際にはぜひ訪れてほしい素晴らしい場所です。
今回は高知県立牧野植物園を昔訪れた際に撮った写真と共に紹介します。
佐渡についてのブログやないんかいと思ってはいけません!牧野先生は佐渡にも関わりがあるのです!
※写真は数年前に撮ったものなので現在と変わっている箇所があるかもしれません。
高知県立牧野植物園
園内には温室、牧野富太郎記念館の他植栽エリアや遊歩道があります。
植物はよく手入れされていて散策だけでも楽しいです。
植物園への申し込みが必要ですが映像ホールなどの施設の利用や、結婚式の前撮りなどの撮影も可能なようで市民に開かれた場所となっています。
高知県立牧野植物園ホームページ https://www.makino.or.jp/
開園時間 9:00〜17:00
最終入園時間 16:30
入園料730円(高校生以下無料)
無料駐車場有り
(※2023年6月8日時点の情報)
園内には温室、牧野富太郎記念館の他植栽エリアや遊歩道があります。
植物はよく手入れされていて散策だけでも楽しいです。
植物園への申し込みが必要ですが映像ホールなどの施設の利用や、結婚式の前撮りなどの撮影も可能なようで市民に開かれた場所となっています。
みどりの塔
温室
温室は特に美しいです。熱帯の植物やウォーターガーデン、小川が流れていました。
植栽エリア
丁寧に手入れされた庭園を通って記念館に向かいます。私が訪れたのは初夏だったこともあり天気も良くたくさんの花が見られました。
牧野富太郎記念館本館・展示館
展示館・記念館の設計は内藤廣さん。
地上からだと記念館は植栽の間から屋根を覗かせるくらいで存在感を隠しているように見えますが、上空から見るとかなり変わった形をしていることが分かります。
下のマップだと左側の四角っぽい建物が記念館、右のドロップ型の建物が展示館です。
内藤さんの建築はその土地の歴史や景観を大事にした設計が多いです。
安曇野のちひろ美術館の屋根勾配を背景の山々に合わせていることは有名です。
そのため建築の持つ雰囲気や内部の居心地の良さがとても良いような気がします。
建物がその土地と空気にうまく馴染んでいます。
言うのは簡単ですがこれはとても難しいことではないでしょうか。
そういう限定された条件の中で内藤さんの牧野富太郎記念館は、牧野博士が当時見て愛したであろう五台山の景色を守ろうとした結果の形になっています。
ぜひ四国を訪れた際には見てほしい名建築です。
内藤廣設計図面集(オーム社)による解説を見ると、県の当初の構想では記念館は4階建ての四角い建物だったそうです。
ただ建設地の五台山は牧野博士はもちろん地元の人にとっても親しみのある山なので、内藤さんは建築によって景観を変えるのを避けたかったようです。
そこで建築を低層にすることでそれを解決しようとしました。
また牧野先生ゆかりの木々を植えて、年月とともに建物が植栽に埋もれて森に還っていくようにしたそうです。
建物の材料も県内産の杉と檜を使っているそうです。これは高知県側の要望だったようですが、これはなかなかすごいことなのではないかと思います。
建築に使用する材木の中では檜が一番使い勝手が良いのですが、日本の寺社建築は新しくなるほど杉や松の使用が多くなっていきます。
それは檜を採り尽くしてしまったためです。
東大寺でさえ鎌倉時代に再建する際に檜の調達に苦労し、遠く山口県から採ってきたそうです。
そういう背景を考えると、高知県には建材として使用できる檜があることに私は感動しました。
土地の個性を大事にした建築
私がかつて住んでいた家は高台にあり、自室の窓から住んでいる街が一望できました。
通っていた学校や友達の家、そこから自分のいきている世界の全てを見渡すことができました。
特に夜中など遠くに見える国道を走る大型トラックや誰もいない道で規則的に動いている信号機に、夜中に一人起きた寂しさから親しみを寄せていました。
私が中学生になった時、近くの土地に新しく家が建ったことで、自室の窓から見える景色の半数が隣の家の屋根で見えなくなりました。
幼い頃から親しみを込めて眺めていた風景を見られなくなるのは、自分の一部をもぎ取られるような寂しさがあります。
それを知っているから内藤さんが地域の人のために五台山の景色を損なう設計を避けたことに特に惹かれました。
もちろん新しい景観だって長い時間をかけて誰かの大切な思い出になります。
今やランドマークになったパリのエッフェル塔でさえ建設当初は美観を損なうとして批判を受けたのです。
でも昔からある景色を引き継いでいくことだって大事なことだと思うんです。
牧野富太郎先生は佐渡にも関係があります
牧野先生は1933年7月にヤマトグサの調査のために佐渡を訪れています。佐渡の写真家の近藤福雄さんがばっちり写真に収めています。(近藤さんの写真集の「佐渡万華鏡」参照)
また、佐渡植物園の設立の際には指導も行ったという記録があるそうです。
牧野先生についての企画展が佐渡植物園で7月からはじまります。
佐渡植物園は渡津神社の隣にあります。この辺りは自然豊かでとてもいい所なのでおすすめです。
佐渡植物園
開園時間 8:30〜17:00
入園無料